ある日、私が自転車に乗って悠々と走っていた所、前方に自転車に乗った女性が走っていたんです。
私は一目見ただけで、その女性の容姿に目が釘付けなってしまいました
その容貌を例えるなら、伸縮コピーで異様に横長になった写真。
女性力士が居たのなら軽く大関クラスにはなれそうな
まあ、平たく言えばデブだったわけですが
そんな本体のサイズに比べて彼女の乗っている自転車は折りたたみ式で小さく、彼女がペダルを踏むたび
「ギィーコ。。。ギィーコ。。。」と悲痛な叫びをあげていました。
生まれて初めて感じた自転車への同情を噛み締めていると、
「―――♪」
不意に聞き覚えのあるメロディーが聞こえてきました。 音源、前方のデブ。
「この頃はやりの女の子はぁ↑
おしりの小さな女の子ぉ↑」
よりによってそれか
しかも前奏付です。どうもご丁寧に。
気分的に一層寒々しさを増した風に乗って流れる、魔の旋律。というか戦慄。
「こっちを向いてよハニー。
だってなんだかだってだってなんだもん♪」
何が「なんだもん♪」だ
サビ直前、テンション極まりノリノリのデブ。もはや耳を塞ぎたい気分の私。
「お願い お願い 傷つけないで
私のハートは クチュクチュしちゃうのぉ〜」
明らかに息切れしながら、彼女は歌い続ける。
何が彼女をそこまでさせるのか。
「イヤよ イヤよ
イヤよ 見つめちゃイヤー」
「ハニーフラッシュ!!!」
溜めにに溜めたハニーフラッシュの直撃を受け、ついに私は堪えきれず大爆笑。
ふと、私の押し殺した笑い声に気づいたのか
決してこっちを向いて欲しくないハニーが、振り返ってしまったのです
一瞬、絡み合う視線。
「この顔があんなノリノリで歌ってたのか・・・」と再び込み上げてくる笑い
しかし彼女はすぐに前へと視線を移すと、急に加速し始めました
「ギイコーギコーギコーギコー」
高速で嗚咽を上げる自転車 見えなくなるデブ
最後に少しだけ可愛い所を見せた彼女だったとさ